屁とともに駆け出した女

深夜に住宅地のすごく狭いT字路の真ん中で体育座りをしてたんですね、そしたら前から黒い服着た女が歩いてくんの、僕に気付いて、でも気付いてないようなフリをして、僕はテレパシーで女の心を読んで、あ、こいつ怖がってんな、ってわかって、それはあたりまえだ、僕は近隣住民に恐怖を与えろっていう指令を受けて、ちゃんと自分でどうしたらいいかを考えてこうやってるんだし、女がチラチラと俺を見る、俺はおまえは普通だよ、というテレパシーを送る、むしろその、自然な、自然な僕を気にしていないかのようなそぶりに合格点をあたえたい、うまいよおまえは、女が僕の前に来る、そして女と僕との距離が一番短くなった瞬間に、俺はバブッという豪快な音の屁を放った、
アスファルトに、屁を、たたきつけた
それを合図に、女は駆け出してゆく、一目散に、すべての演技や体にまといついたなにもかもを捨てて歯をむき出して、わき目もふらず右へ、南へ、僕は後姿を見守りながら、その女に「屁とともに駆け出した女」と名づけた、そして世界は始まった、屁とともに駆け出した女は、僕がもう一発屁をこくのを待ってる、僕が屁をこくと、ぷつんとまるで意図が切れたかのように女は知らない場所で目を覚ます、ペ・ロンジュンは妖怪王、かっこいいし尊敬する、僕も立派な妖怪になりたい・・・!これを読んでるあんたと同じ精神病院に入院した事あるぜ?俺はさぁ(笑)精神病院の中でおまえのママとずっと