そこからみえる?

あの子は信じられない事を続けている、17才の頃の僕はもうすでに号泣している、これは僕の予想の中ではじめてはずれたものだ、あの頃 ゆっくりとかがんで拾った、一番悲しい言葉、それよりもさらにひどい言葉が17才の頃の僕の口から次々とつぶやかれてとまらずにいる、17才の頃の僕は今でも部屋の窓全てに「助けて」とかかれた張り紙をはって、ゲームに熱中しているフリをしているが
ときどき振り向くんだ!

17才の頃の僕はあの子の顔をみた!
僕がみているあの子の笑顔と、そのしぐさの全部を、じっと 今にも消えうせてしまいそうな表情をして、どこのレストランにいってもはこばれてくる水は2人分で、僕があの子と一緒に食べたクレープを17才の頃の僕は食べることができない、彼は部屋の壁中を叩いてまわって、はじめて腕を切って 強く切って、あの頃 僕がこっそり覗くしかなかったノートの内容を今は大声で叫んでいて、でも僕の返事はこうだ
あのさ、今しらべてみたんだけどあの映画をやるのは5時で最後らしいよ、と
彼のゲーム画面はとうとつに暗転し、もう終わりだ、という文字がうつしだされて、彼は部屋の真ん中であおむけに失神している

彼は不幸ではない
そして僕も幸福じゃない
彼は汚いものを追いかけていて
そしてもしかしたらその汚いものは僕を追いかけている

僕は彼がノートにかく詩がすごく好きだった、でももしもあの子が3人で飲みにいったりしようよといっても僕はつれていけない、彼はとても臭くてニキビだらけの顔とボロボロのスウェットを着て、嫌な表情でこの世を殺すこと その方法についてしか考える事やしゃべる事ができずに それしかできないようにつくられている、ただ 僕は君のこと まるで他人のことのようにはあの子に話さない、こんなにせいいっぱいであることが、今の僕のぼんやりした目の中にはじめて教えてもらった裏側のようにみえて、そしてそれを信じることだってできて、たとえあの子が僕じゃなく17才の頃の僕のために泣いてくれるというあきらかなウソを 僕がもしかしたら そんなことを、言葉ではない音楽のような気持ちで賭けているとしても、その一瞬前に彼はどこかにふらりとでかけて、部屋はもぬけの殻になってきっとずっとそのままだって予感があったりするんだ