シンク

目を閉じていつ魔法にかかったか思い出すなら、いつまでたっても周波数のあわないラジオがあって、電源コードが海の奥深くまで伸びていて、君はサラダボウル片手に僕はしょっぱいパイナップルジュースもって砂浜に寝転んでいた、君の目に映る黒い点をみて僕は空に鳥がゆっくり旋回しているのを知ったんだ、、、落ちていく太陽の真向かいで風と歓声と砂の匂いが逆光をあび、帽子をかぶった男が夕陽にあわせてレコードをまわそうとしていた、、、、、、、、たしか、でもだめだったんだ、失敗したんだ、
目をあけたらすべてが反転して
目を閉じたら、君と僕とすべての人たち、魚や貝たちは、、たとえ恋人同士だったとしても1人ずつになって夕陽に飲み込まれ写真の中の黒い影のようになる、消えられないから歩けない、君のことが好きだというヤドカリや鳥や僕の気持ちが波のリズムの1つに変わり、遠くへいってしまわない遠くになって、声は2度と聞けない、、星の瞬きの1つ、、1年や1秒のうちに目を閉じた時の熱、、、今のうちにこれからがあって、今のうちにこれからがなくて、、、、、、、、、突然入るノイズのように僕たちは目をあけてしまう
目をあけたらすべてが反転して
目を閉じたら、1年や1秒と僕たちはつながっていない、夏が消えていつまでも夏のまま、僕たちが消えていつまでも僕たちのまま、夜が消えて、熱くって、いつまでも夜と朝のまま、漂うヨット、僕が生まれてから、死ぬまで波間に落ちていた、そのあとの事はわからない、、、僕は声帯をふるわせて目を閉じた時の熱、空気の向こう、空気の間に君がいる、僕のふるえなんか目の中に光が入り込むだけで抑えつけられる、、、、振動が集まって、、、、いつのまにか空気の中にほどける、なにかが寄り集まっているものに感じること、大きなたったひとつに感じること、ずぶぬれの僕らが感じること、そうやって僕や君を瓶の中閉じ込めたら、どこへだってでていける、夏の、海の、そばだ
閉じた目の中で朝食をとり始める
目をあけたらすべてが反転して
君に見えていて僕に見えていないものは、僕の姿だけだ、っていう魔法にかかってしまった