水の中で裸になって体を丸めた思い出

まわる扇風機をながめていて ながめていたらキュルキュルと音を立ててファンがとまり、羽に書かれている文字が読めるようになった

「象さんが2頭いました、つとむくんはリンゴを3つポケットに入れていました、水の中で裸になってうずくまった思い出」「また、狂っている奴が狂っている事を言っているというふうに終わらせるつもりか」「僕が考えた早口言葉、登校拒否児特許許可局」

動いてるものは止まってしまうから 伝えたい事が伝わってしまった セミは泣くのをやめてしまうから 秋までには死んでしまう とてもとても僕は恥ずかしがりやだった 分裂病の蚊よ 僕の血を吸いにこい いつか忘れた思い出の数だけ君は人と出会う 夏がきたというそれだけのことに いろんな人がたくさんのものを預けてしまえるように 僕たちもきっと夏の中で夏のことを思い出す
僕が顔をあげたらそこから 走れるものたちみんな走っていく 家を燃やして眠ってしまった 火事の家から火をもらってタバコを吸った 校門の前で頭を抱えて奇声を発して道を引き返す登校拒否児は 悪い登校拒否児だ 朝目がさめるとおなかが痛くなって部屋から出ない登校拒否児は すごく悪い登校拒否児だ

どうしたんだ、血をいっぱいつけて

僕を褒めていいのは僕のおばあちゃんだけだ 誕生日がきてもこなくても僕たちにはわからないことがあるけれど だって夏が来るたび夏のことを思い出す
あの川の、水門で待ってる

登校拒否児は昼の静かな日差しを知ってる 登校拒否児はあの昼ドラの最終回を知ってる
昼の静かな日差しは綺麗だ あの昼ドラの最終回はいつみても泣いてしまう 登校拒否児には夜の教室の隅にギンズバーグの詩集が置き忘れられているのかどうか知るすべがなかった 手首はカッターに恋している 僕は虐待を夢みてる 僕はとてもとても恥ずかしがりやだった この人たちが幼少期に親からひどく殴られていないのなら、この人達の悲しいっていうのはどんな事なんだろう、そんな悲しみを一度でいいから僕みてみたかった 恋からさめ、夢からさめ、熱をちらし、太陽の光は水の中でバラバラにはぐれなくてはならない 僕は夏の透明な雨から夏の透明な雨の中へ、抜け出す 登校拒否児たちのすべての心を抱えてあるべき場所にかえすために ゲームのキャラたちはみんな君のために泣くだろう、春にラムネを売ってるコンビニを探して自転車で走っていたら迷子になっただろう
すべての暗いものはただ揺れているだろう

どうしたんだ、そんなに血をいっぱいつけて
水の中で裸になって体を丸めていたから
水の中で太陽と月を同時に見ていたから
僕はとてもとても恥ずかしがり屋だった
あの川の、水門で待ってる

金八先生がいっていた
「そうだねぇ、友達が欲しいのなら日記に書き込んだりせずに、自分の手と目と声で気持ちを伝えればいいのにね」