都電荒川線に乗って

僕たちは列車に乗ってる
まだ列車は動き続けてる
駅に着くまで降りるな
駅に着くまで降りるな
外に出たら死ぬぞ
外に出たら死ぬぞ
列車が止まるまで
最後の駅に付くまで椅子に座ってろ
列車がお前を運んでくれる
最後の駅には楽しいことが待ってる
列車から飛び降りるな
死ぬな
寝てろ
すぐにつく
窓の外は決してみてはいけない
窓の外は決してみてはいけない
お前は外にでたくなってしまうから
お前が外に出ても
お前を見てくれる奴はいない
お前は列車の中にいるだけでよかったんだ
それだけが唯一の方法だったんだ
最後まで目を開け続けるための
唯一の方法
耐え続けるための
唯一の方法
列車がやっと止まったとき
誰かがお前を待ってくれている
お前が来るのを待ってくれている人が一人だけいる
でもお前はなにも思い出せなくなっていて
どこかでむかし
むかしどこかで見たような
その人を
誰なのか
思い出せなくて
お前は泣くだろう
最後の駅ははずれの
はずれの方にあって
周りには何もない
お前はお前を待っていてくれた人と二人で
何もない道をゆっくりと歩く
歩くだろう
嫌な気分で
お前がその人からふっと目をそらした時
お前はその人に殺される
あっけなく
刺殺される
僕はこいつに殺されるかもしれない
死んだあとそう思うだろう
殺されるかもしれない
そう思っただけで
それが理由で
お前は殺される
何故?
何故か、それは
不安
憎悪
それは
世界を追いつめる小さな急所だから