サンリオピューロランドで会おうぜ

ハローキティは昔 僕の友達だった 今でもプラスチックでできたあの丸い瞳に
憂鬱そうな面影が少し残っているし 口がないところなんてそっくり
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彼は16の早朝に自殺した 僕は毎日号泣していたが ずっと悲しんでもいられないので
サンリオピューロランドに出かけたとき 偶然彼と再会した

彼は生前 誰からも愛されなかったが 今じゃ 子供たちのハッピー
サンリオピューロランドへ行けばいびつに可愛くデフォルメされた彼に会えるんだ
春の夜の暗闇が 僕にこうささやいてくる
何にも身に付けなくていいん
だよ
服もヒーターもクーラーも 地面だっていらない

悲しかっただろう 寂しかっただろう そこからは暗いところがあまりよく 見れなかったね

サンリオピューロランドで会おうぜ」
遺書を火であぶるとそういう文字が浮き出してくる
僕たちじゃない誰かが 「さよなら」 をいって僕たち二人ともそれを聞いたんだ
今じゃ彼は雑巾の絞り汁も飲まないし 便器をなめさせられる事もない
そういう人間はマスコットキャラにも似てる
サンリオの外に例えば下水道、たとえば駅のホームに ハローキティがいたら その目を瞬きをせず24時間ずっと見つめてみろ
たいていの子供がショック死する どんなに強く両親の腕を握っていたとしても
だが子供にも大人にも目がない
サンリオピューロランドは永遠に崩壊しないだろう


ふざけたしぐさで
写真にうつる
そしてなにより
仮面を
かぶっている
それはまさに自閉の産物だ
彼の


誰か 経営者でもいい
ハローキティを抱きしめてやれよ
そうすれば彼は内側から溶けていくから もはやその中に人が入っているのかさえ
曖昧になってしまうから
柵の外から ピューロの中へ
さけぶんだ 愛してるって
それだけで
全アトラクションは大声で泣きながら停止する


びしょ濡れの一人の子供をパリパリに乾いた毛布で包む
耳に聞こえない音を必死でイメージするように
君が生まれる前から
君の事を
知っている人がいたんだ