世界が消える

思春期は何か大きな事件がないと終わらないんだよ
良い事でも悪い事でも
終わらない思春期はその存在自体が広がって
誰の事も強迫しない
それは違法だ
それははじめっから嫌われる事の約束だ



ちぎられたぼろぼろの約束
僕が無言で玄関を開けると
すぐに
テレビの中で女優が
「あらおかえりはやかったのね」と言った



帰ってきたのが僕だとわかると
テレビの中で女優は男優に殴られた



深夜に他人の家の庭でタバコを吸っている
ような気味の悪い人間は確実に存在する
ただその男が玄関のドアをノックしないだけだ
なまじっか義務教育を受けてしまい
そこが自分の家ではないと教わってしまっているから
都市の怪物 工員
肉体労働者に近づくと噛まれるぞ



おばあちゃんが死んだ 
電球がついた
僕の口の中に突っ込まれた
コナゴナに割れた
それは誰にも気づかれないけれど視線の中に限りなく薄まる



そして寒さの種類が手をむすび混じりあうと
すべてはまたよりいっそうしゃがみこんで
僕らの体から重さがはがれ落ちる肥満児もめくらも



つまり僕らの平等性がはがれるのだ
君が運びたかったもの
それは小さな白い家だったかい?



運が悪かったね



神のいない時代に神が見えるというチョコレートを食べて
僕は神の正体がわかった
箱や水が見えたがそれは目と同時に見えるものがある
神とは日々のいやな気分だ
それは箱の中にも水の中にも入っている
分裂症拒食症虚言癖強迫神経症
みんな 神だ



「大きな時代の流れを理解してはいけない、深くまで沈んではいけない 
 社会が、世界が、僕らの体からはえている」
それは僕が部屋の中で見た幻覚だった
今僕が部屋の外で見ている幻覚は 社会や 世界のかわりに そのかわりに
とてもやさしい人やすごくかわいらしい人が道端に置かれている



いつか僕は耐え切れなくなって
とてもやさしい人の耳元で「世界」とつぶやいてみるだろう
その人はきっと驚いたような目で僕をみて
その人はきっとその言葉を知らない
きっと僕がなにをいってるのかわからない
そんなものはどこにもない
そんなものをみる目はどこにもない
社会や世界は部屋の中で見た幻覚だったんだ



何をやっても笑ってしまう
僕のしていることを確か読んだことがあったから
僕らは嫌な気分とすぐむすびついてしまう
思い出をもっただけだ