最悪になるまで

君の吐き出した声は雪の降る朝の白い息みたいだったけど水面下ではきっともがいてるんだろう君の流れていく距離はあまりにも遠い県を一つ越えるだろうその間に感情の種類がバラバラにはぐれていくんだ警察は君の肉体だけを捜索する何にもわからなかった誰とも会えなかった何にも出来なかったあの頃の僕僕を救いたがっているのは僕しかいない僕があの頃の僕を見つけてやる今の僕があの頃の僕に会えるのは暗い部屋の片隅で頭を抱えながら大きな塔にもたれかかりキノコによって意識を失っていたあの一瞬だけだあの時出会った神にそこに向かって 電話をかけろ「神の丘は見えない」僕はたまたま持っていた釣り竿を振り、君に向かって糸を投げたけれども大きな鯉がつれた

階段を一段一段上がるたび
世界はゆっくりと広がっていく
僕はただの好奇心で見えるところまで歩いていきたかったが
僕の仕事は見ることではなかったから僕の仕事は歩いていくことではなかったから
呼ばれたら戻らなくてはならない 階段を降り 世界はゆっくりと狭まっていく
そして極限まで引き絞られた点が
僕の腕の固い筋肉の中にしまわれたのだ