理科室にいったら彼女できました

よしおは小学4年生のころ、道端に落ちていたオナニーを見つけた
オナニーは長いロープで、その一端をよしおは自分の性器に結びつけたがもう一端を何に結べばいいのかわからなかった
つとむは馬鹿だから小6までチョウチョ結びが出来なかった
よしおは最初なんとなく、テレビの中のかわいいおねえさんの背中の隅の隅、お尻のちょっと上あたりに自分のロープを結びつけようとしてためらった
自分がいつか大人になった時そのおねえさんが自分の顔を指差して馬鹿にするような気がしたからだ
そうやって何度も、おもに女性を連想させる色々なものにロープを結び付けようとしたけれど、
もって生まれた消極性のためかよしおはいつも寸前で手を下ろしてしまった
そのうちよしおは自力でそれを何かに結びつける事を諦め、それを持っている、という事に酷い罪悪感を感じ始め、小学6年生の暑い夏、
近所の川へ鯉を釣りに行った時、それを建設中の橋の上から錘をつけて遠くまで放り投げてしまった
そしてよしおはその日以来、その不思議なロープについて考える事をやめ、それをなかったものとして扱おうと決めた


あれを食べたり、燃やしたりして誰もが同じ幻覚を見た
けれど目を覚ましてみると誰もいない
僕たちの酷い後遺症は、つまり、自分自身で、それを話し合う事は誰にも出来なかった


よしおが忘れたそのロープはそれでも川底でフナやクチボソやウグイにつつかれ飲み込まれ、その魚を渡り鳥が丸飲みし、そして渡り鳥は暖かい南の国を目指して大空を飛んだ、よしおよしおよしおよしおよしおよしおはその頃、中学1年生で顔が気持ち悪いと同級生に嫌われ散々ないじめを受けていた、ある日の放課後、よしおは裸でベランダに出されそこで同級生達に囲まれオナニーを強制された
その頃、よしおのロープを飲み込んだ渡り鳥は群をはぐれて誰も知らない国のキラキラ光る砂浜に降り立ち、綺麗な白い花の隣に静かに横たわって死んだ よしおはその頃、家に帰るため早く射精しようと焦っていた よしおは自分の頭の中を女の裸でいっぱいにしたが、けれどそういう事を考えても自分が射精できない事に気付き愕然とした その頃、渡り鳥の死骸は風と波と時間によって静かに解体されていきその肉をヤドカリが食べた
よしおは暗くて深い穴の底で絶望を感じ早く射精しようと焦っているが、そのロープは小さな生物達の静かな息遣いに吹かれ、明るい星の波打ち際でそっと波に濡れているのだ